「終決者たち」　マイクル・コナリー - 横浜市 元町 中華街の美容室

［要旨］
３年間の私立探偵稼業を経てロス市警へ復職したボッシュ。エリート部署である未解決事件班に配属された彼は、１７年前に起きた少女殺人事件の再捜査にあたる。調べを進めるうち、当時の市警上層部からの圧力で迷宮入りとなっていた事実が判明。意外な背後関係を見せる難事件にボッシュはどう立ち向かうのか。

ハリ・ボッシュのシリーズ11作目「The Closers」を読み終えた。

引退して私立探偵を3年やっていた、ボッシュが

古巣ロス市警に帰ってきた。

本作は、ベストセラーリスト第1位にもなったらしい。

オレは、こんなまじめな刑事物語を読んだのは

初めてじゃないかなと思ったくらい、まともに感じた。

ボッシュが出勤初日に、未解決事件捜査班長が

未解決事件捜査について話をするシーンで

「まず第1に、けじめ（クロージャー）を忘れろ!　けじめはたわごとだ。

けじめはマスコミ用語だ。未解決凶悪事件（コールド・ケース）に関する

新聞記事にまぎれこませている言葉だ。けじめはジョークだ。

まったくの嘘だ。我々がここでやるのは、答えをもたらすことだ。

答えは充分なものでなくてはならん。だから、君にここでやろうと

していることについて、早とちりをしてはならん。～中略

我々は、九回裏、試合の勝敗がかかっている時に投入される

プレーヤーに似ている。クローザーだ。

もし、我々にできないなら、誰にもできない。

もし我々が失敗すれば、試合は終わりだ。

我々が最後の頼りだからだ。

なるほど、我々は圧倒的に劣勢だ。

だが、我々はひるまぬ。

我々は充分意味のあることをおこなっているのだ。

我々はクローザーなのだよ。BABY」

ボッシュは上司の熱意に感じ入った。

上司の目に誠意と、痛みすら浮かんでいるのがわかった。

ボッシュはうなずき、

この男のために働きたいと自分が思ってるのが

すぐにわかった。

この後も、上司の演説は続くのだが

感謝したくなるほどの上司だと思った。

17年前の事件を再捜査していくと、色々なことが

判明していく人間関係が、浮き彫りになっていく

展開が面白かった。

最後にボッシュはこう思う

「この世は困難を克服できない人々で溢れかえっている。

けじめはつかず、平穏はない。真実は人を解放しない。

だが、困難をやりすごすことはできる。

光の方向へ向かい、穴をよじのぼり、土を掘り、脱出することは

できるのだ」

（ボッシュはベトナム時代、トンネル掘りだった）

だからボッシュは

自分の使命を続けるという決意が、自分の中に生まれ

そして常に死んでいった者の代弁をするという誓いをたてるのだ。

さあ、次は翻訳されてる最後のボッシュシリーズ第12作「エコー・パーク」

これは、あえて読まないで

次にオレを待っている新たな、アウトローヒーロー

ジョン・ベッカーのシリーズに突入しようと思う。

前から、早く読みたくてたまらなかったからだ。

ボッシュは刑事だが、ベッカーはFBI捜査官である。

たまにはFBI物も、読みたくなる。

刑事とは違う世界だし。

その第1作目「倒錯者の祈り」　デビット・ウィルツ

実をいうと、何年か前にちょっとさわりを読んだことが

あったけど、背筋が冷たくなるほど

ゾクッとした。けど、

何か氷のように冷たく、冷酷な美しさを感じたんだよね。

ベッカーは、犯人の意識に入り込む独特の捜査方法で

事件の深層へと向かっていくらしいけど

犯人の気持ちに重ねるということは

ベッカー自身もサイコだと思ってしまう。

全部で6シリーズらしいから

今年は楽しめるだろう。

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